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これからの「正義」の話をしよう その1

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ものすごく今更感はありますが、今更読んでます、マイケル・サンデル (先日買ったら第94版でした)。
門外漢の領域ではありますがとても面白いので、何回かに分けて、勝手に要約します。



〇第一章 正しいことをする
正義に対する普遍的な回答は勿論存在しない。例えば、2004年のハリケーンチャーリーによる災害の後、家屋の修理業者や生活必需品の販売者は、災害後の高需要に付け込んで、平時よりもはるかに高い価格設定を行った。これは正しい行為と言えるだろうか。



ある者はそうやって値段が高くなった方が結果的に多くの業者が参入し、復興が早くなると答える。またある者は、そもそも価格の設定はあくまでも個人の自由であり、自由とは人間の不可侵な自然権であると答える。そしてある者は、いかなる理由があれ、そのような行いは不道徳なものであると答える。



正義を論じる際は、人によって重きを置く部分が異なる。ある社会が公正かどうかを問う時の、正義へのアプローチは上に挙げたような幸福、自由、美徳の3つが存在するのである。そしてこうしたそれぞれの理念は、しばしば互いに衝突する。また、そもそも何をもって幸福、自由、美徳とするかというように、各理念の内部ですら、一定の基準を定めることは難しい。そのため、何が正義かという議論には当然結論がない。



本書ではまずこの幸福、自由、美徳という3つの考え方について検討していき、正義についての諸問題を考察していく。

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これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)